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Mon 08/11/2010

ディヴィジョン (西田東)

☆このレビューは・・・☆

2010年10月26日付けの、管理人のメインブログ「ゆすらうめ異聞 雑想記」に掲載した内容に、加筆・修正をしたものです。



++++++++++



●レビュー(その1)

は、お久しぶり!の西田東さんの新刊。


ディヴィジョン (ディアプラス・コミックス)ディヴィジョン (ディアプラス・コミックス)
(2010/09/30)
西田 東

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よかったですよ、すっごく♪

平凡で生真面目な、ちょっと煙たいくらい真っ当な価値観を持った主人公(ちなみにゲイ)が、ひょんなことから、自分とは正反対の生き方をしてきた強烈な(そして強烈に魅力的な)キャラ(ヤクザ系、基本ヘテロ)と遭遇し、反発し、否定し、ぶつかり合いながらも、やがてどうしようもなく魅かれていって・・・というお話。

これ、西田さんお得意のパターンですね(笑)。

ちょっと思いつくだけでも、「願い叶えたまえ」も、「LIFE, LOVE」もそうだったような?

BLは「(本来の)ゲイのリアリティ」とは関係ない、とはこの世界の常識ですが(笑)、彼女の描くゲイの主人公の葛藤と選択には、妙なリアリティがあります。

実際のゲイの人たち、普通に毎日をわたしたちと同じように地道に、あくせく、時に喜んだり悲しんだりしながら生きている、平凡にして愛すべき人たち。

そういうゲイの人間にとっての究極のファンタジー、みたいなものを描かせたら、西田東の右に出る者はいないんですよねえ。。。

「西田節」のベースラインに沿っているという意味では、ものすごく新鮮なストーリー展開ってわけでもないんですが、それでもこの「ディヴィジョン」、いいですよ~(笑)。

美味しい、せつない、笑わせる、そしてホロリ、と。

相変わらず個性的な絵柄なので、食わず嫌いが多いんじゃないかとは思いますが、これだけのウィットとウィズダムを、ミニマムな描写とネームに収めるって、並大抵の才能ではありません。

おまけに、キャラの内面をせつなく描いておきながら、ときにクールに突き放したギャグで笑い飛ばすことすらできるって、凄いですよ(笑)。

「いやあ、異才だなあ~」

しみじみ、そう感じました。


+++


まずは主人公の、ドライな哀しみがせつない。

社会的にはおそらくまずまずの成功者、でもゲイゆえのうずくような痛みを抱えている・・・BLワールドにはよくある設定ですが(笑)、彼は同時にテキトーにふてぶてしい、恋愛もしたいが性欲もフツーにある30代の男、なんですね。

決して、白馬の王子様を待ち望む悲劇のヒーロー(ヒロイン!?)にはならないのがポイント。

・・・この辺が、わたしが「ゲイのリアリティ」を感じてしまう所以だろうと思います。

かわいいけど、かわいくない。

かわいくないけど、かわいい。

そんな彼が、ヤクザ者にしか見えないアブナイ男と出会い、魅かれていく過程が秀逸でした。

相手の男が・・・ねえ。

これも、西田さんの黄金パターンなんですが、絶妙な味つけなんですよね(笑)。

闇の世界の住人で、ときに残酷なことを平然としてのけるワルモノ。タフで下品で言葉遣いが荒くって、乱暴でえげつなくて、だけどしたたるような魅力的な男。

非道い男なのに、だけど心の奥底にどこか、優しい性根を持ってないわけでもない。

・・・この善悪のバランスが、「ギリギリ」なのです。

これ以上ひどい暴力を振るったら、読者の心が離れていってしまう、そのギリギリのラインでとどまっているから、彼はあやうくも魅力的なのですね(笑)。

「こんな男サイテー! 絶対、彼氏にしたくないよ!! ・・・でも、でも、もし万が一、こんな人に巡り合ってしまったら・・・?」

絶対に魅かれないと、そんなバカじゃないと、断言できる???

破滅的だとわかっても、ありえないロマンスを夢みたりしちゃわない???

・・・そう、つまり読者は期せずして、主人公の気持ちをまんまなぞっているんですね(笑)。

とってもゲイで可愛げのない主人公に、知らず知らずのうちに感情移入しているって・・・ああ、作者の巧妙なマジックに引っかかってるよなあ、と思います(苦笑)。

上手いなあって、脱帽。


主人公が、からかうようにキスされて心臓がバクバクいってるときに、どうして胸が高鳴るのか、どこか冷めた神経で考えたりするんですよね。

つまり、セックスへの欲望をかき立てられたからドキドキするのか、思いがけず恋をしたからドキドキするのか、どっちなのかわからないって。

「一致したことがないから―――」

って・・・ねえ、泣かせるでしょう?

セックスをしたこと(=カラダのドキドキ)はあっても、好きな男と相愛になった経験(=心のドキドキ)はないって、そんな赤裸々な独白を、さらりとしちゃうわけです。

「乙女キャラ」にはほど遠いはずの主人公が、慣れない感情の高ぶりに戸惑うころには、読者はとっくに彼の味方で、彼のせつない恋心にきゅん!

・・・なのよねえ(笑)。

(あれ、胸キュンって死語???)


+++


他にもこのマンガには、ぐっと来る台詞がいっぱいです。

ホント、個性的なウマヘタ系絵柄にどうしても注目が集まりがちの西田さんですが、コトバの扱いも巧みなんだよなあ。あぐぐ、ニクイぜ!(笑)

(絵に関しては・・・華麗じゃないし、端正でもないけど、個人的には下手だとは思ってないです。ミニマムなへろへろ線だけで、キャラの複雑な感情を表現できるわけだし、身体の厚みなんかも描けるのだから、いいんじゃないかな? あ、でも、牡丹の刺青はお粗末でしたね、あはは~!)


と、まあ、そんなわけで。。。

33歳の弁護士と44歳のヤクザ者との、本来ならばあり得ない異国ロマンスは、ロマンティックとはかけ離れた世界で思いがけず花咲き、びっくりするほど甘美な展開を見せます。

大人のロマンティック・ファンタジー。

ときどきとんでもないギャグで落としてくれますので、なかなか素直に酔ってもいられませんが、そこが西田さんのいいところですね(笑)。

なんだかんだ言って、BLの王道だと思いますよ~。

よろしかったら、試してみてください♪



ましゅまろんどんのおススメ度=★★★★
攻めキャラ美味しい度=★★★★★
受けキャラ可愛げ度=★★★


なんだ、この採点・・・(笑)。


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