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Fri 03/10/2014

炎環 (永井路子)

☆この記事は☆

自分用の読書メモ、はたまた備忘録として利用している、某書籍レビュー/シェアサイト(SNS的なもの)に書き込んだレビューを、時によって若干の加筆・修正を加えてここに転載しています。

読了は2014年1月。






炎環 〈新装版〉 (文春文庫)炎環 〈新装版〉 (文春文庫)
(2012/06/08)
永井 路子

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大好きな永井路子の、大好きな代表作にして直木賞受賞作。

もう何度読んだかもわからないほどですが、久しぶりにまた読み返しました。

まず、新装版になって文字も大きめ行間も広め、きれいで読みやすくなりました。

それだけでも買い直す価値はあります。

本作は、鎌倉時代の草創期を舞台にした四編の連作小説。

源頼朝や義経、北条政子といった「主役」級の人物ではなく、彼らの周囲にいた「脇役」的な(歴史的には若干マイナーな)人物の視点から、頼朝の旗揚げ~承久の乱を描いています。

ほぼ同時代に生きた人たちなので、語られる出来事が(一部で)重複していたりもする。

そこが重層的、「藪の中」的で非常におもしろい。

どこかミステリ、サスペンスに通じる面白さがあります。

頼朝の異母弟(義経の同母兄)の全成(ぜんじょう)法師。

梶原景時。

北条政子の妹の保子(全成の妻)。

そして北条四郎義時。

(前言を覆すようでアレですが、日本史的にいえば景時や義時を「脇役」扱いは気の毒かも。)

彼らの目線、彼らの欲望と怖れを通して、鎌倉時代をつくった人物たち、すなわち頼朝や政子、時政や頼家、実朝、公暁の人物像が鮮やかに浮かび上がります。

エゴも恐怖も、プライドも人情も・・・そういった感情の揺れの描写が見事。

ここにさらに三浦義村や和田義盛、比企一族、新田、畠山、上総広常など大勢の人間が加わり、それぞれ必死で生き、戦い、守り、愛し憎みつつひしめいている。

その結果が、それが歴史になるのだと実感させられます。

今回、再読して感嘆したのは、永井路子の小説のおそるべきモダンさ。

なにしろこの作品が直木賞を受賞したのは、昭和39年なのです。

ほぼ50年前。

古い時代小説というのは、文章も作者の視点(史観)もいかにも古色蒼然、センスが古くさくて現代の目で見るとどこか抹香くさい気がすることが多いのですが、永井作品はちがう。

ごく最近の作品だと言われてもわからないくらい、感覚が現代的なのですね。

これはすごいことです。

(かといって、最近のなんちゃってライト感覚時代小説と比べると雲泥の・・・いやいや、それは永井路子にあまりにも失礼でしょう。比べるのも無礼。)

時間を超越して、すごいものはすごい。

偉大な作家は偉大。

永井路子の長年のファンという身びいきはありますが(笑)、それを差し引いても「炎環」が名作であることに変わりはない、と断言します。

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